笠取山 2017.9.13

笠取山いいよ! すごくいいよ!

という話を聞いたことがないのが不思議なくらい、本当にいい山です。写真のとおり眺望もすばらしいですが、それだけではありません! 熱のこもった紹介ブログもほとんどないので、サークル活動ではなく山の魅力に重きを置いてまとめてみることにしました。

二人の後方に見えているのが山頂です。前半は樹々の下の歩き、後半は広々と見晴らしのいい道になります。総じて歩きやすく、なおかつ、様々な表情とお楽しみポイントがあり、最後まで飽きません。

登山口は「作場平駐車場」。GoogleMapで検索すれば出てきます。ざっくりとした位置を言うと、奥多摩を抜けて、丹波山村も抜けて、少し山道を走ったところにあります。この日は8:45分に登り始めて、15:10に下山しました。道中でたっぷり遊んでこのタイムなので、総歩行5時間くらいのコースだと言えそうです。

誰にでもおすすめできる、東京近郊ではここがいちばんだ!と声を大にして宣伝したくなる山です。おすすめポイントを5つにまとめてみました。

1. 驚くほど整備の行き届いている登山道

マイナーな山であるという頭が最初にあったからというのもありますが、よくぞこれだけの木道や橋を作ったものだと驚かされました。どこの百名山ですかってくらいです。総歩行5時間、標高2000m、標高差600mと、中級向けとも言えるステータスですが、ビギナーはもとより登山デビューの人でも誘えると思いました。非常に歩きやすく、看板も親切なので道迷いの心配もほぼありません。道のりの半分くらいは二人以上並んで歩けるような広い道です。山頂手前の笠取小屋にはトイレもあります。

ゆるやかな道のりから始まり、終盤で一気に標高を稼いでいる点も、歩きやすさに一役かっています。

2. 山頂直下の迫力ある急登

歩きやすいだけでは物足りない、ひいひい言いながら登ってこそ登山だ、という人もいるかと思いますが、安心してください。クライマックスでは、他ではなかなか見られないような見事な急登が待ち構えています。しかも、これだけ写真映えする直登です。今からここを登るのか!と気持ちが高まります。

あまりにフォトジェニックなので、何度も撮り直しています。

登りの急さを強調すると尻込みする人もいるかもしれませんが、こんなに「優しい」急登は他になかなかありません。易しいの誤字ではありません。優しいんです。要するに、急登だけれど時間はあまりかからないし、何よりゴールが見えているので苦手な人でもがんばれるということです。これは、「かっこいい」と評される別の山を登ったときに感じたことです。登りが好きな人間をあれだけ興奮させられる急登だけれど、思い出してみるとすごく優しかったなあと。優しいけれど、最後はちゃんと登山らしい達成感が味わえるという、非常に気の利いたクライマックスです。

もちろん、登り切ったらすばらしいご褒美が待っています。

3. 絶景

山頂直下の急登を登る際には、ぜひとも、ときどき立ち止まって後ろを振り返ってください。見る見るうちに景色がよくなっていきます。こんなにも分かりやすく、登る気持ちよさを味わえることはなかなかありません。

そして山頂まで登ればこうなります。

おにぎりもうまい!

山頂からの絶景をバックに写真を撮れば、何気なくしててもなんかちょっと良さげになります。山頂マジックです。

山〇くん、かっこいいなあ。

4. 源流の最初の一滴&沢の始点が見られる(水干)

水干(みずひ)と言われても初めて聞く方はぴんとこないかもしれません。写真の場所は山頂のすぐ下にあります。急登を一度下りてぐるりと回り込んでくるような位置です。

みんなが覗き込んでいる奥には、このような小さな空洞があり、見ているとポタッと雫がたれてきます。これがつまり、多摩川源流の最初の一滴です。山頂に降った雨が60日かけて浸透し、ここでしたたり落ちます。つまり、地表に顔を出す最初の瞬間が見られるということですね。

日によってむらがあると思いますが、この日は2,3分に一滴というペースで、じーっと待っていて「落ちたー!」となるとなかなか興奮します。

お楽しみはこれだけではありません。近くに、水場へ下りる道があります。看板には「最初の流れが見られます」と案内があります。一滴が集まって川になる、その始点を見に行くことができます。

階段を下りながら見上げると、さきほどの水干スポットが見えます。あそこから染み込んで下りてきてるんだなあというのが実感できます。

お~、これかー!

ここに来たら、ぜひ水を飲んでください。これ以上はないというくらい澄んだ状態のきれいな水です。飲んでみて私は、おいしいっていうか「無」だ、と思いました。なんの味もしない、なんのまじりっけもない、未だかつて味わったことのない水です。非常に印象深い体験になりました。

最初はコップにくんで飲もうとしていたんですが、「いや、本当にそのままの状態で味わうためには、直で飲まなきゃ!」ということで、全員が沢に直接口をつけて飲みました。一人はなぜか持っていたストローで飲んでいました。最初から最後まで笑いの多い山行でしたが、ここがいちばん盛り上がったかもしれません。それくらい楽しめるスポットです。

5. 表情豊かな道のり

沢沿いの山道に始まり、見晴らしのいい丘を歩けば、駆け出したくなる草原がある、そして最後には「登っておいで」と言わんばかりの急登という、非常に表情豊かな登山が楽しめます。

特に今回、山頂と水干に次いで気に入ったのが「小さな分水嶺」です。ここに降った雨は、こっちへ流れて行けば荒川に、こっちは多摩川になる、という場所です。ここがまた、ちょっとした山頂と言えなくもないくらいの気持ちよさで、目の前には原っぱが広がっています。私の性分というのもありますが、この日はとりわけ楽しくて気分もよかったんでしょう、走り出したくなりました。

「ぼくもです!」
という同意があったので「じゃあ行きましょう!」と走り出しました。二人かと思ったらもう一人も一緒になって走り、最終的には全員走ってました。

このメンバーだったから、というのもありますが、子どもみたいにはしゃいで遊びました。

それから、おまけみたいなものですが、途中に分かれ道があって、帰りに違うルートを歩けるというのも地味にうれしいところです。

道中で疲れたら、せっかくの源流なので沢に下りてみましょう。飲んでもおいしいですが(山水の飲みすぎには注意)、川底をよく見るときらきら光っているのが分かります。メンバーの一人が「砂金だ」と教えてくれました。なんでもこの近くで金山が栄えていたのだとか。

たっぷり寄り道して、おおよそ6時間(+昼休憩1時間)。下山後は近くの温泉(丹波山村や小菅村)に入るのもおすすめです。

いかがでしょうか。私は毎年登りたいリストの筆頭に加えました。唯一ネックなのが車がないと行けない、という点です。

「水干」が有名なので、環境学習や自然観察のようなプログラムに使われがちですが、ご紹介したとおりしっかり登山が楽しめます。きっと気に入ると思いますので、ぜひ登ってください。